慢性腎臓病(CKD)
腎臓のはたらき
腎臓は腰の高さにある左右1個ずつの臓器です。以下のようなはたらきをしています。
- 尿を作って、体外に排泄することにより、体液の量や成分の調整をしている
- レニンというホルモンを分泌して血圧の調節を行っている
- エリスロポエチンというホルモンを作って、赤血球の産生をうながしている
- ビタミンDを活性化させてカルシウムの調整を行っている
慢性腎臓病とは?
慢性腎臓病(Chornic Kidney Disease : CKD)は、何らかの原因で腎臓の障害がある状態が3か月以上続いたものです。成人の8人に1人が罹患しているといわれており、慢性腎臓病があると脳梗塞や心筋梗塞などの血管病のリスクが高くなります。しかし、末期になるまでほとんど症状がないため、早期発見のためには定期的な検診が必要です。そして、一度悪くなってしまった腎臓は、治療してももとの状態には戻らないため、そういう意味でも早期発見が重要になります。
慢性腎臓病の症状・診断
初期には症状がありません。
かなり病期が進行してくると、以下のような症状が出てきます。
- 尿が排泄しにくくなり、体の中に水分がたまるため、むくみ・息切れ
- 体外に老廃物を排泄できないため、尿毒症という状態になり、食欲不振・全身倦怠感・意識障害など
- 赤血球を作るホルモンの低下により貧血症状
- カリウムを排泄できないため高カリウム血症となり不整脈 など
慢性腎臓病の診断によく用いられるのは、尿検査と血液検査です。尿検査で蛋白尿を認めたり、血液検査でクレアチニン値やeGFRという数値が異常を示すと慢性腎臓病の疑いがあります。また、腹部超音波検査で腎臓の萎縮がある場合も慢性腎臓病が疑われます。
メタボリックシンドロームの診断基準にあげられている、内臓脂肪型肥満・高コレステロール・高血圧・高血糖は、慢性腎臓病の発症や進行に深くかかわっているため、当てはまっているひとは一度検査をおすすめします。
慢性腎臓病の治療
- 保存的療法
慢性腎臓病を進行させる要因は、高血圧、たんぱく質の取りすぎ、高血糖、脂質異常であり、まずは、食事や薬物治療でこれらを是正することが重要です。しかし、慢性腎臓病は原因や進行の程度によって食事療法や薬物療法の方法も異なります。その人に合った適切な指導を受ける必要があるため、ご相談ください。 - 腎代替療法
慢性腎臓病の末期で、保存的療法ではコントロールが困難な場合に行われます。
透析療法(血液透析・腹膜透析)、腎臓移植があります。
